第九十四章 麗しのアブリザー姫〈アラビアンナイトより〉
↓先にご一読下さい
https://naonaooan.hatenablog.com/entry/2023/06/24/000000
元々は格闘マゾ(だったと言うべきかしらん)の僕がフィクションの世界で、最も愛する女性、アラビアンナイト(千夜一夜物語)に登場するアブリザー姫を、改めてご紹介します
ついでに妄想も追加してみます😅
大宅壮一訳バートン版アラビアンナイト②「360人の美女をもった大王」より
女に負けた王子
オマール国の王子、20歳にして歴戦の勇者シャールルカンは、フランク王国を遠征中に馬上で一人きりになり、そこで偶然、相撲に興じている女たちを見つけ、獲物にしようと乗り込みます
それに立ち向かったのがアブリザー姫です
彼女は、勇者シャールルカンに自らと相撲を取るよう言い、負けた方を捕虜にするよう申しました
美しい女性からの余りに豪胆な申し入れに、さすがの王子も驚きますが
彼女の提案を受け入れ、一対一で相撲勝負となります
ハンデも何も無い、公正にして公明正大な、命をかけた女と男の真剣勝負。一騎打ちです
しかし王子は、姫の美しい腕を間近に見ただけで、その余りの白さに目が眩み力が抜けてしまいます
勝負は掴みあった瞬間に決し、シャールルカンは投げ飛ばされ、美しいアブリザー姫の足元に転がります
姫は王子の胸の上に馬乗りになり、王子を組み伏せます
命は許してやるから帰るよう、姫に言われたシャールルカンですが、姫の尊大な物言いに腹を立て、今一度の勝負を申し込みます
姫は余裕で快諾し、2度目の勝負となりますが、2戦目は更に短く、あっという間にシャールルカンは地面に背中から倒されます
男の余りの弱さに呆れる姫ですが、シャールルカンの願いを聞き入れ、3度目の勝負となります
3度目にして漸く火が点いたシャールルカンは、必死でしばらく組み合っていましたが、美しい姫に「今度は少しやるようね」と、声を掛けられ、その笑顔の美しさに見惚れ、またも力が抜け、足を取られて転がされます
こうして
美しいアブリザー姫は、勇者シャールルカンと相撲で3度(みたび)争い、3度とも圧勝。こっ酷くやっつけて、「おまえは麩でも食べておいでなの?」と、罵り、嘲笑します
女に負けるような力無しでは、とても手柄を立てるのは無理。命が惜しければ早く逃げ帰るよう、王子に言います
屈辱に塗れたシャールルカン王子ですが、美しい姫を諦め切れず、連れて行って欲しいと懇願します。弱過ぎる男に同情したのか、アブリザー姫は、客人として彼を自らの邸宅に招き入れることにします
アブリザー姫の邸宅は、姫の他、姫の召使、侍女たちも全員女性。女の園に招き入れられるシャールルカンです
翌朝、美しく着飾ったアブリザー姫を見て、シャールルカンは更に舞い上がります※
※ふと気がつくと、これまで見たことのない美しい女が自分に近づいてくるのを目にしました。二十人にあまる新月のような侍女にとりかこまれた姫の姿は、ちょうど、群星にかこまれた満月を見る心地がしました。お姫さまにふさわしい、光り輝く衣服をまとい、胸は一対の柘榴のように盛りあがり(中略)、その下の臀部は、ふっくらと盛りあがって、銀の袖で支えられた水晶の天球儀のようでした〈引用ここまで〉
姫のあまりの美しさに感動したシャールルカンは、高貴な詩を口遊み、アブリザー姫に身バレしてしまいます
敵国の王子と気付いたアブリザー姫は、しかし彼を饗応し、お酒を振る舞います
豪奢な酒席は、王子が酔い潰れ倒れるまで続いた、とありますので、書かれてはいませんが
どうやら姫は彼より、お酒も強かったようです😄
翌日、またも美しく着飾った姫は、王子を将棋(チェス?)に誘います
2人は向き合って座りますが、王子は姫の余りの美しさに見惚れ、間違った手ばかり打ってしまい、あっという間に姫に敗れてしまいます
しかし王子は、「一戦くらいではわかりませんよ」などと言って再戦に挑みます
しかし2度目も姫が勝ち。3度目も、4度目も・・
とうとう「少しも(将棋の)手をご存じ無いのね」と、姫に笑われますが
王子は言い訳をして、5度目の勝負となりますが
5度目も負け
結局姫は、将棋で5度続けて勝つ〈全て圧勝〉と、負けっ放し〈アブリザー姫の美しい顔や見事なオッパイから目が離せず、まともに指すことが出来ない〉シャールルカンに向かって
「あなたは何をなさっても負け犬ってところねぇ」と、嘲けります※
※最後のセリフのみ、平凡社「アラビアンナイト」前嶋信次訳より引用です
美しいアブリザー姫と相撲と将棋で戦い、真剣勝負の相撲で3戦3敗。全敗して嘲笑されて、貴族の嗜みである将棋でも5回続けて惨敗。一度も勝てず、全て一方的に敗れ、とうとう強く美しい姫から負け犬呼ばわりされてしまいます
マゾ的にめっちゃ痺れます💕
アブリザー姫の美貌のおかげかと思いきや、実はアブリザー姫は武道もメチャクチャ強い※のです。シャールルカンが真剣だったとしても勝てたかどうか
格闘マゾにとってアブリザー姫は、至高の女性と言えるでしょう
※物語の中でアブリザー姫は、剣を使っての馬上の争いでも、シャールルカンとほぼ互角の腕であることが書かれています
マスクで顔の一部を隠した状態で突然現れた姫とその姫の部下百人の女達は、シャールルカンの部下やはり百騎と、各々一騎打ちで争い、20人が20戦全勝。しかも命を取らないよう手加減した戦法で、シャールルカン軍の精鋭20人は悉く敗れ、打ち落とされ、縛り上げられて生け捕り、捕虜にされてしまいます
怒りに燃えたシャールルカンは、敵の首領と一騎打ちしますが
やはり手加減されているにも関わらず、勝つことが出来ません
シャールルカンは必殺の気合いで望みますが、相手はやはり彼を傷付けないよう遠慮しつつ戦っています
2日間撃ち合っても決着がつかず
3日目にして漸くシャールルカンは、卑怯な戦術で勝ちかけますが、姫から激しく叱咤されてしまいます
「その声は⁉︎」マスクが外され、相手が愛しのアブリザー姫であることに気付き、シャールルカンは驚愕します
てなエピソードがあり、これを読む限り、ルールのある正当な闘いなら、勇者シャールルカンより美しきアブリザー姫の方が強いんじゃないかという推測が成り立ちます
僕は邸宅での2人のこの後の様子を夢見ます
ここから妄想です
シャールルカンが実は、敵国の王子であることは、アブリザー姫の知るところとなりました
勇者の中の勇者であることも
そして彼は、自分の魅力の前には無力です
それに気付いた姫は、もっともっと王子をいたぶってやりたい気持ちになり、更に美しく着飾り、色っぽい仕草で彼を挑発します
実際、シャールルカンが姫の魅力にメロメロにならなくても、姫は充分に強いのです
まして、大きなオッパイを半分くらい露出した服装で出て来られたら、未だ二十歳の彼は・・
肉欲に押し潰され、煩悩に翻弄され、もはや、立ち向かうすべは無いのでした
何で競っても簡単に敗れ、嗤われ、美しい姫の嫐りものになる哀れなシャールルカン・・
アブリザー姫は、勇者の中の勇者たるシャールルカンに勝ち続けることで、女ゆえ知られていない自らの勇名を天下に馳せようと思ったのかも知れません
2人の対戦成績とその内容は、侍女の1人が克明に書き残していました
こちらは後ほど紐解いてみましょう🤗
2人は様々な競技で争いました
(お付きの女性達と考えた)SLAPゲーム
組み打ち
腕相撲
足相撲
そして拳闘
「王子様は、拳闘を嗜まれますか?」特製の皮の手袋を持って現れたアブリザー姫
勿論、殴り合いでは今まで誰にも負けたことの無いシャールルカンでしたが
女と、ましてこれほどの美女と
打ち合ったことはありませんでした
邸宅の格闘場でグローブを付けて向き合った2人
姫の美しい顔と見事なオッパイから目を離せず、オドオドした様子のシャールルカンと
余裕の笑顔のアブリザー姫
既に幾つかの競技において全敗を継続中のシャールルカンです
彼の顔には負け犬特有の卑屈さも滲み始めていました
一方は、侍女たちの声援に応え、笑顔で手を振りながら彼の前に立つ美しいアブリザー姫
結果は火を見るより明らかでした
もっとも
荒っぽい殴り合いしかしたことの無い王子と、幼少の頃より、イギリスから伝わった正式なボクシング技術を身に付けた姫では
仮に王子が全力でも、勝てたか否かは微妙でした
それが
ほぼ腑抜け状態です
試合は、試合と言うより、ただ姫が殴っているだけの残酷な殺戮と,なりました
シャールルカンは勇者ゆえ、今まで姫が戦ったどんな相手より打たれ強くタフでした
それがまた悲劇となります
生身の男を打って打って打ちまくる、無感情なサンドバッグを殴るより、それは楽しい作業でした
早く打ち倒してはつまらないと、姫は少しだけ手加減し
途中からは鼻歌混じりで、右から左から、前から下から、王子の腹を顔を頭を、鼻を頬を顎を念入りに隈無く殴り続けました
女性らしい小振りながら固い拳が、ガツン、、ガツン、と王子の顔で酷たらしい打擲音を立て、その度、くぐもった王子の苦悶の呻きと共に血が飛び散り、それに呼応して姫お付きの侍女たちが黄色い歓声を上げました
手加減していても姫の打撃は、王子が過去に戦ったどんな男たちのモノより強烈でした
それでも王子が立っていられたのは、彼の尋常ならざる体力と勇者としての意地のなせる技でした
が、それは全て無益で無意味でした
それらは、姫の遊び心や嗜虐心を満足させるためだけにあり、悲惨な結果へと繋がって行きます
「大丈夫ですか。愛しの王子様、1発くらい殴り返して頂いても結構ですのよ(笑)」楽しそうに笑いながら、力強く殴りながら、姫が王子を揶揄いますが
殴られている王子の答えはありません
現代と違いラウンド制でなく、レフリーストップもタオル投入もありません
そして勇者の誇りも桎梏になりました。負けを認めることも出来ず、彼は美しい懲戒者の良い嫐りモノになるのでした
血塗れになり、悲惨な呻き声を洩らし、ノーガードで立っているだけの王子を、美しい姫は、含み笑いをしながら半時間以上、打って、打って、打って、打ちまくり、こてんぱんにして、漸く満足したのか、始めてフルショットの左右連打ととどめのアッパーカットを放ち、王子を打ち倒しました
王子は、マットに背中から深々と沈み、2度と起き上がって来ることは無さそうでした
アブリザー姫は、見物の侍女たちと共に、両手を上げて快哉を叫び、会心の笑みを浮かべたのでした
そのまま寝室に担ぎ込まれて治療を受けたシャールルカンでしたが、何という体力、すぐに意識を取り戻し、翌日には立てるようになっていました
そしてそれが彼の不幸でもありました
翌朝、朝食のため、姫との食事に現れたシャールルカン
回復したとは言え、顔はあちこち青暗く腫れ上がり、鼻は醜く膨れ上がっていました
美しい姫はそんな彼を見てにっこり笑うと
「あら、愛しの負け犬王子様、お加減は如何ですか」と嘲けり、そして
「もう少し手加減して差し上げたら良かったですわね(笑)」
「少し力を入れ過ぎましたでしょうか」などと言って王子を揶揄い、侍女たちは顔を見合わせ、クスクス笑いました
王子は何も言わず、赤い顔をして俯きました
更に姫は
「ここでの滞在期間をもう少し伸ばした方が良さそうですわね。そんな腫れた顔でお帰りになられたら、軍の方達に何を言われるかわかりませんもの」そう言って、明るい声で笑うのでした
そしてそして更に
こんなことを申したのでした
「親愛なるシャールルカン王子様、王子様はタイ王国に『ムエタイ』という格闘技があることをご存じでしょうか?
哀れなシャールルカンに明日はあるのか・・
チャンチャン😄
続く、かも・・
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