呉緒様の奴隷 豚吉日記

心斎橋アメ村FARPLANEの美しき女神、呉緒様の奴隷豚吉(ぶたきち)です。変態マゾ。この世で1番愛する女性、呉緒様の奴隷にして頂いて18年、感謝と土下座の日々です。

第七十一章 おビンタ考④ 文学作品におけるビンタ

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第七十一章 おビンタ考④ 文学作品におけるビンタ

 

久しぶりに、漢数字シリーズです

驚くことに、未だに第三十七章には、結構なアクセスがあるのです

夏木青嵐ファンが、それなりにいらっしゃるのでしょうか

ちなみに、リアルでも「もっと沢山紹介して下さい」という方に出逢いました

大抵の読者の人は、呉緒様の動向のみ気にされていらっしゃるのかと思っていたので、ちょっと意外でした

 

そこで、図書館や、青空文庫などで読むことの出来る文学作品に絞って、印象的なビンタ、平手打ちのある作品をご紹介します

と、思ってみたのですが💦

日本の作品には、ホント少ないですね〜

我らがM文豪谷崎潤一郎にしても、ビンタとなると・・

「饒太郎」の中で、数発、それも比較的軽めです

「瘋癲老人日記」の中で、颯子に一発だけ頂きますが、確か一発のみ、です

 

太宰治の「グッドバイ」にあったような気がしていたのですが、改めて読み返しましたら、こちらはグーパンでした

 

谷崎に負けないM作家、坂口安吾から

「桂馬の幻想」

二十歳の天才棋士、木戸が対局中に、奇妙な桂馬の一手を打った後、失踪する

記者野村は、その直前に見た田舎娘(娘教祖)が関係しているのではないかと思い、その足取りを追う

 

山上の茶店へ来てみると、(中略)ムシロをしいた部屋は一間しかない。その部屋の柱に、木戸が荒ナワでガンジガラメにいましめられている。
「いま戻ったよ」
 と娘教祖は帰宅の挨拶に木戸の額に平手打をくらわせて、
「さ、お前はこッちへおあがり。お前を煮て食うとは云わないよ。なーに。これは普通のことでね。毎日ではないが、よくやることさ。昨日はひどかった。お前が帰ったあとでさ。薪ザッポウくらわしてやったよ。顔にはケガはさせないがね。お前にくだらないことを喋りちらしやがったからさ。オレは見とおしさ。みんな耳にきこえてくる。顔にもちゃんと書いてあるのがお前たちには判らないだけさ。お前はそこに坐って見ていなさい」
 野村を指定席に坐らせておいて、娘教祖は木戸の前に立った。
「ほら。ほら。ほら。ほらしょウ」
 木戸の頸に手を当てがって人形の首のように柱にがくがく叩きつけた。
「ほらしょ。ほら。ほら」
 次に左右から両頬へ平手うち。木戸は目をとじて、歯をくいしばり、時々呻きをもらすだけ。
「目をあいて、オレを見な。オレの目を見な。お前の性根はくさっているぞ。お前の魂はまだ将棋指しの泥沼からぬけていないよ。人間は自然の子だ。カボチャや大根と同じものだぞ。ちっとも偉いことない。まだ、わからないか。このガキ!」
 チョイとアゴを押して、ゴツンと頭を柱にぶつけさせた。なるほど、気のせいか、手荒という感じがしない。しかし、とにかく怪力である。チョイと押されてコツンと後頭をぶつだけでも痛そうであるが、いかにも愛情のこもった感じに見えてきたからフシギである。

 

マゾの喜びに目覚める木戸と、それを感慨深く眺めながら、自分はそっち(の世界)には行かないよ、敢えて木戸に告げてからその場を去る野村

 

小品ではありますが、坂口安吾らしい不思議な味わいがあります

坂口安吾の女性による打擲のある作品としては、他に

ニューフェイス」元相撲取りが、若い女中につかみかかるも、あっさり返り討ちに遭い、コテンパンにぶちのめされ、更に心まで奪われます💖

「女剣士」必読。主人公の元コソ泥、存八が美しい女剣士歌子に、木刀と拳骨で、徹底的にボコボコにされ半死半生にされます。昔々書いた「MF(ミックスファイト)今昔物語」でもご紹介しましたが、これは本当にマゾリンチ作品の最高峰です😊

リクエストあれば改編した創作をご紹介します

 

国内作品はあきらめて、海外作品から

「ナナ(エミールゾラ)」

第二帝政期のパリの社交界に咲いた大輪、娼婦ナナ

彼女は、元女優(ちなみに、彼女のデビュー作品は「毛皮を着たヴィーナス」です)の美貌と肉体美を使って、数々の男達を籠絡し、散財させ、破滅させます

今で言うFINDOMの走りと言って良いかも知れません

彼女によって破産させられる男たちの1人

ラ・フォロワーズのエピソードです

トンマで人の良いラ・フォロワーズを、ナナは破産させるだけでなく徹底的に揶揄い、嫐りものにします

彼の前で別の男(フォシュリー)とわざとイチャイチャしたり、沢山の人の前で、平手打ちを喰わせたりします

一部改編してお届けします

 

ある日ナナは、フォシュリーにそそのかされて、ラ・フォロワーズに横びんたを張ってみせると約束した。そしてその晩、皆の前でひとつ思い切りびんたを張ってから、ひどく面白くなり、彼がどんなに卑小で弱いかを見せつけてやり、懲らしめてやることが楽しくて、続けざまに張り倒し笑いものにした。彼女はラ・フォロワーズのことを〈あたしの横びんたの入れ物〉と呼び、少し入れてあげるから前に出なさいと笑いながら言った。だが「少し」なことは一度も無かった。また、入れ物が壊れそうなくらい、凄まじい威力のびんただったが、それもナナの斟酌するところでは無かった。

多くの男女が興味深げに見守る中、ラ・フォロワーズは美しいナナに激しいびんたを喰らわせられるのである。殴られ慣れないラ・フォロワーズの頬は、すぐに紅く染まり、打たれるたび彼は哀れな悲鳴を上げたが、ナナは一切躊躇なく無慈悲に殴り続け、彼の顔は酷く腫れ上がった。弱虫で泣き虫のラ・フォロワーズは、涙で顔中を濡らしていたが、ナナの猥れ猥れしい態度を好ましく思い、その美しさに見惚れていた。

「横びんた入れさん。明日はもっと入れてあげるからね」そう言ってナナは、打ちのめされた哀れな男の情け無い泣き顔を見て高らかに笑い、多くの彼女の支援者たちも彼を嘲笑った。

そんな残酷な打擲の日々がかなりな期間続いた頃

「どうだろうね」と彼はある晩、今日も今日とて横っ面を何度も張られさんざん泣かされた後、腫れ上がった顔をナナに向けて、「僕と結婚してくれないかね。どう? 愉快な夫婦になれるよ」

これは真剣なプロポーズだった。彼はパリの社交界をあっと言わせたかった。美しいナナを口説き落とした男と呼ばれたかったのだ。

だがナナはこっぴどく彼の鼻をひっぺしょった。

「あたしがあんたと結婚するんだって! よして頂戴!」そしてさんざん罵った後、嘲るように言った。「このびんた入れが! 今日はもっと沢山入れてやるわ。さぁいらっしゃい」

そう言って、彼の横っ面を何度も何度も張り続け、ついには彼が悲鳴を上げ泣き喚くのを見て、唾を吐きかけ大笑いした。

その後もしばらく残酷な打擲は続き、青黒く腫れ上がったラ・フォロワーズの無残な顔は、社交界の人々の良い笑いものになっていた。

やがて破産したラ・フォロワーズが彼女の前から姿を消したが、ナナはなんとも思わなかった。

 

マゾ向けに改編してみました

 

最後は、やはりマゾッホに行きます

第69章の2でご紹介したエピソード

「毛皮を着たヴィーナス」

主人公ゼヴェリーンは、美しいワンダの奴隷となり、グレゴールという名前の従僕にされて、旅に出ます

旅先で彼女は次々と別の男たちと逢引きを重ね、彼に見せつけます

 

昼食の席では公爵が彼女の横にすわり、私は2人の給仕役という刧罰に服する。(中略)一瞬、私は目の前が真暗になり、ボルドー葡萄酒を公爵のグラスに注ぐときに、公爵のテーブルクロスと彼女の夜会着に酒を注ぎこぼしてしまう。

「何てドジな」ワンダが叫んで私に平手打ちをくれ、公爵が声を上げて笑う。彼女も声を合わせて笑い、私は顔面にかっと血が上る思いである。

(中略)

六時の夕食には紳士淑女連の小パーティが開かれた。私は給仕役だが、今度はテーブルクロスに酒を注ぎこぼしたりはしない。

げに平手打ちは百の説法に勝るのではあるまいか。一発喰らった方が物分かりが早いのである。特に教えてくれるのが、肉付きの好い小さな女性の手である場合には。

 

最後は、改編した創作をお送りします

 

三十分後私たちは外出した。ワンダは天鵞絨服にロシア帽、私はお仕着せのウラソビー服といういで立ちである。(中略)「家具付貸家アリ」の貼札がぶら下がっている家がどの大通りにもかならず一軒はあった。ワンダはその度に私に玄関階段を上らせて、私が件の家が彼女の注文に合いそうだと報告するとやっと御輿を上げて自分も階段を上ってくるのだった。こんな風にして私は、正午になる時分にはもう追い猟を終えた後の猟犬のように疲れ切ってしまっていた。

 

私達はまたしても一軒の家に入り、適当な住居とは思えないので家を出た。ワンダはもうほとんど腹を立てていた。突然、彼女は私に向かってこう言った。「ゼヴェリーン、あなたはとても真面目にご自分の役を演じていらして、その本気なところがとても魅力的よ。それにこの故意と身につけた強制にひどく興奮させられてしまって、もう我慢できないの。あなたがとっても愛おしい。キスをしてあげなければ気がすみません。 それから、気が遠くなるほど、どっさりの平手打ちもね、してあげたいの。 さあ、どこかの家にお入りなさいな」
「でも奥様・・」私は異を唱えた。
「グレゴール!」彼女は私を叱りつけると最寄りの空家に入って薄暗い階段を何段か昇ると、熱っぽいやさしさをこめながら私に腕を絡ませてキスをした。
それから、にっこりと美しく微笑んで、たおやかに右手を振り上げると、激しく私の頬に振り下ろした。私が悲鳴をあげると、ワンダは心からおかしそうに笑った。
さらに往復ビンタを、2回、しっかりと決めた後、ワンダは言った。
「ああ!ゼヴェリーン、あなたってとてもお悧巧さんなのね。奴隷としては私の想像してたよりずっと危険な人。いいえ、あなたには太刀打ちできません。もう一度あなたにお熱になってしまうんじゃないかと心配だわ」
「するともう私を愛していないのですか?」
にわかに愕然として私は問うた。
彼女は真剣な面持ちで首(かぶり)を振り、またしてもそのむっちりとふくらんだ美味しそうな唇で私にキスをしてくれるのだった。
そして白い手をゆっくりと振り上げると、平手打ち。右に左にと、私の顔はその度に揺れ、食いしばった歯から、悲鳴が洩れる度に、ワンダは、楽しそうにくすくすと笑うのだった。
十数発の連打が止み、頭がぼぅとしている処に、やさしいキス。だがキスの余韻はすぐに消えて、またもや激しい平手打ち。
今度は、左右の手を使って、更に激しく私の両頬を張るワンダ。
がぁん。がぁん、と、耳鳴りがするほどの激しい平手打ちに、ついに私の目からは涙が溢れ始めていた・・。ようやく平手打ちがやんだ。
「ねぇ、どうして泣くの? これはおまえの大好物じゃないの」「そうじゃないの。グレゴール」ワンダは、そう嘲るように言って、またしてもそのむっちりとふくらんだ美味しそうな唇で、私にキスをしてくれるのだった。
やがて、ゆっくりと唇を離すと、「さあ、あと3回はキスをしてあげるわ」と、言った。
「・・」あまりのことに私は、悲痛な声をあげて、天を仰いだ。・・すると平手打ちの連打もあと3回・・。
「うれしいのね、可愛い人。じゃ、4回にしましょうね」・・そして、優雅に白い手を振り上げるワンダ。涙に曇る目にその残酷な笑みだけが写った。

 

こんな感じ如何でしょうか

実際のところ、「毛皮を着たヴィーナス」の中で、ビンタはそんなに多くはありません

印象的なのは、あと一か所くらい

それ以外は主に鞭打ちです

 

文学作品からのおビンタ紹介でした

 

〈追記〉

谷崎作品は、文庫や図書館等で読めます

M系としては他に、「猫と庄造と二人のをんな」

主人公庄造が、妻福子に、つねられたり、引っ掻かれたり、酷い目に遭わされますが

何故この展開でビンタが無いのかは謎です

 

太宰は、「青空文庫」で読めます

安吾も同じく「青空文庫」で

他にお勧めは、「ジロリの女」

 

ゾラは、新潮文庫、ナナ(下巻)

川口篤・古賀照一訳

〈ところで、「ひっぺしょった」って、何処の言葉でしょう?〉

 

マゾッホ「毛皮を着たヴィーナス」は、河出文庫

種村季弘

他に「マゾッホとサド〜ジル・ドゥルーズ」(晶文社)等がお勧めです

〈最近別訳で河出文庫から、「ザッヘルマゾッホ紹介」として出ていますが、ほぼ同じ内容です〉

マゾッホが少年時代に、美しい叔母にお仕置きされるシーンが書かれています

この叔母は浮気の最中に夫に乱入され、怒って夫を殴りつけ、鼻血を流させ叩き出します

そして改めて謝罪に訪れた夫のパンツを脱がせてお尻をたっぷり鞭でお仕置きします

凄いドミナですね🤗

それを途中まで覗き見していたマゾッホは、見つけられて、鞭でお仕置きされるのです

こんな女性にお仕置きされたらトラウマになるのもやむなし、ですね😁

羨ましい

 

種村季弘ザッヘル=マゾッホの世界(筑摩書房)」もお勧めです

 

最近、ザッハ(が、正しい発音だとか)・マゾッホとして幾つか翻訳され出版されていますが、M系では無いようです

 

 

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