呉緒様の奴隷 豚吉日記

心斎橋アメ村FARPLANEの美しき女神、呉緒様の奴隷豚吉(ぶたきち)です。変態マゾ。この世で1番愛する女性、呉緒様の奴隷にして頂いて18年、感謝と土下座の日々です。

第四十七章の1 おビンタ考④

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☆ビンタ文学紹介 夏木青嵐その2

「白い火花」は、別冊風俗奇譚に掲載された作品です
夏木青嵐の「下賤な男が高貴な女性の下着を盗んで折檻される」という作風テーマ、まさにそのままの作品になっています。
殴る女性は
恵美子・・男とは遠縁の親戚筋で、28歳の美しい有閑マダム、実業家夫人。
信子・・31歳。花柳界出身の有閑マダム。豊満な美貌にして妖艶な夫人
 
物語は、友人の恵美子の家に信子が泊りがけで遊びに来たところから始まります
入浴して出てきた信子の下着が無くなっていました
その旨を恵美子に伝えると、恵美子は
 
「迷惑かけちゃって悪いわね。うちに置いている遠縁の男なんだけど、妙な癖があって困ってるのよ」
「妙な癖ってなんなの。女のあれを盗むの」
「うん。あとで呼ぶわ。(中略)」
 
「まもなくここへ来るわよ、その男」(中略)
廊下を忍び足が近づいて来た。(中略)
「こっちへおはいり」(中略)
以前、教鞭をとっていただけに、命令口調が板についていた。(中略)
見たところ、30過ぎぐらいであろう。(中略)
「顔を上げなさい」
「ひぇ」(中略)
「奥様におわびなさい」(中略)
「なぁにそれは。みっともないまねをして、おわびひとつちゃんと申し上げられないの」恵美子のマニキュアの光る指が、ガラスの灰皿に吸いさしを押しつけている。(中略)
短いスカートが、はらりと舞って、えんじのセーターの優しい姿ににげない、荒い足音が畳を踏んで動いた。指輪はぬかれ、卓の上で光っていた。
男が初めて顔をあげた。細面の、まんざらバカでもなさそうな顔だちである。
目におびえが出ていた。
ジャンパーのひじが、彼の目の前で、かぎに曲がり、手が顔の前に止まっている。子供が、ぶたれるのをおそれ、顔を守ろうとする格好に似ていた。
恵美子はずんずん進み、(中略)かしこまっている男の前に立った。
男の顔は、彼女のセーターの腹部の高さである。
早口に慈悲を請う男の手が、音をたてて、彼女の白い手で払い落された。
「歯をくいしばるのよ」
リンとして、女の声が、男の頭上に落下した。美しい目が、男の口もとにぴたりと据えられ、今、自分の言ったことの結果を確認している。
静寂を裂いて、白い腕が、閃光のように速く鋭く空間を走った。
ぴしゃっ!
座敷じゅうにひびきそうな高い音である。
男は、のぞを大きく見せて天井を向いた。
「どこを向いている。ばかっ」
白い平手が、うなりをつけて、頬骨も折れよと、男のもう一つの頬に鳴った。
信子は、テーブルにひじをついたまま、じっと友の行動に目を奪われていた。(中略)
「もっとおびんたがほしいか。こらっ」
「ゆるして、奥様」
男のわびは、中途でへし折られて宙にとんだ。
ぴしゃっ、ぴしゃっ、と頬は高い音をたてて鳴り続ける。
「お手洗いの横へ行って、いつものようにすわっておれ」
平手打ちの音がやむと、ぴしりと声がとんだ。
「~」
「どうした」
「はいっ」
(中略)
「すごいわね」感に堪えた声である。
「うん」(中略)
「あの男、以前には、あたしのを盗んでしかたがなかったのよ。うんとしかってやったら、今度は、よその奥様のものに手を出すの。ごめんなさい」
「驚いたわ」(中略)
「驚くほどのこともないわよ」
「そうかしら。でも、男でも、全然抵抗はしないのね」
「そりゃもう」
手鏡を置いて美しく笑った。
「あたしのおしつけがいいからね」ふと、別の表情になって、「ねぇ、二、三日中に、お宅へあやまりに行かせるわ。なぐってやってよ」
「~」
「男をなぐるなんて、いやかしら」
「うん。でもないけど」
「なら、いいわよ。抵抗なんてするわけないけど、ご希望なら、うちの書生をつけてやるわ。柔道五段よ」(中略)
「ちょっとおもしろそうね」
信子の目が光った。
「おもしろいわよ」(中略)「でも、片輪にしちゃダメよ」
「まさか」
「ううん、彼、耳がもう、だいぶ遠いの。あたしのこれでね」
恵美子は、白い顔の前で、さっきのように腕を振り回して見せ、同時に、器用に片目をつぶった。(中略)
「あの男ね。以前、あたしに結婚申し込んだことがあるのよ。今でも、うじうじあたしに惚れているらしいの」
おかしいわね、とつけ足し、しんからおかしそうにセーターの胸や腹を波立たせて笑った。
(中略)
 
「男なら、恥をお知りっ」
信子の右手のものさしが、きっぱり畳になった。(中略)
三日後、信子の屋敷である。(中略)
男がかすかに身じろぎした。同時に、鼻をすする音が二、三度続けて起こった。
「なんのまね。こんなみっともない盗みをして、泣けば済むと思っているの」
(中略)
「お廊下へ出て、すわっておれ」
(中略)
「くすっ」
男の背後で忍び笑いが起こった。
(中略)若い女中が三つ指をついていた。(中略)
ふじ色の着物をさらりと着流している奥様は、同性の若い女中の目からも、ため息が出るほど美しかった。
それに引き替え、年齢は同じくらいでも、この男ときたら
(最低ね)
憫笑を、若い健康な方頬に張りつけたまま、
「お電話でございますが」
(中略)
「うん、今お廊下へすわらせたところ」(中略)
「そお、やっかいかけるわね」(中略)
「でも、すいぶん泣き虫ね。ちょっとしかったら、もう泣いているのよ」
「なぐらないの」
「うん、まだ」
「なぐってよ。あの癖、早く直してやらないと、本人のためにならないわ」
(中略)
(二人の女中が廊下にいる男に、奥様のところへ行くよう、伝えに行きます。半日近く座らされていた男は足がしびれて立つことが出来ず、女中たちの嘲笑に晒されます)
「そんな思いまでして、おまえ、女の人のあれがほしいの」
「ただのきたない布きれなのに」(中略)
「でも奥様、きれいだからね」
そこで、二人は、声をそろえて、皮肉に笑い合った。
「なぐられるわよ」
ぴくりと、男の肩の動きが止まった。
「そりゃ、なぐられるわよ」
もう一人がうけ合うような言い方をした。
女が男をなぐる、倒錯的な情景が、二人の脳裏に描かれ、奇妙な残酷への期待が、彼女たちの目を、ほの暗い中でうす赤く酔わせていた
 
ばしっ!
音といっしょに、目の前に白い火花がとんだ。男の顔は、はずみで、大きく天井へ向いてのけぞった。
「いったい、どこを向いてんのよ。ばかっ。まっすぐあたしの方を向いていらっしゃい」
「はい」
の返事は、また、大きくはじけて壁へとんだ。(中略)
信子は、美貌を引きしめ、形のいい唇を横一直線に結んで、しっかりと男をにらみすえている。
湯上りの、におうような肌が、黒のナイロン・スリップの下で、時ならぬ運動に汗ばんでいた。
男の顔が正面に戻ると、白いこぶしが、うなりをつけて、男の左頬に炸裂した。
「ぐっ」
のどの骨が折れたようなうめきといっしょに、また男の顔が大きく天井を向いた。
「ふらふらするんじゃないのっ」
よろめく男の足もとを、女が叱咤した。
男の上体は裸である。両腕はそろえて背中でねじ上げられ、革ひもでしっかりくくられていた。その姿で女の前に直立している。顔は火事を起こし、耳がわんわんと鳴っていた。
「誰が泣いていいと言った? 甘ったれると、あたしほんとうにおこるわよ」
叱責が耳を抑えて聞くように、遠く聞こえた。
「泣くな」
としかられながら、男は、自分が泣いているのかどうか、はっきりわからなくなっていた。
必死にわびを言った。
わびのことばは、また中途で、女の白いこぶしにたたき折られてとんだ。
ばしっ、ばしっと、一定の間隔をおいて、右に左に、男の顔は、嵐の海に翻弄される小舟のようにゆれている。
女の豊かな胸は、鋭角的に旋回する白い腕の向こう側で、ぶるんぶるんと波打っていたが、なぐられている男には、むろん見えなかった。
突然、男の顔が、がくんと大きくのけぞり、ふっとぶように、からだが後ろへとんだ。どしんと床が音をたてた。(中略)
セキを切ったように男は泣き始めた。
見ると、男の鼻の下に、ぱっと赤い花が咲いている。鼻血は、彼の裸の胸をよごし、ズボンの膝にも点々としみを散らした。(中略)
「脱脂綿でふいてお上げ」(中略)
「今夜はこれだけで堪忍してあげるわ」
白い手をはたき、テーブルの上のサファイヤの指輪をとって指にもどしながら、彼女は、鼻血の主に声を投げた。
その間にも、鼻血は盛んに流れている。(中略)
「しっかりなさいよ。男のくせに、みっともない」背中をどやしそうに、色白の女中が壁ぎわから声を放った。
「ほんとうよ。男が三十過ぎにもなって、そんなんじゃ、笑われるだけよ」
(中略)
「ほんとうに、もう女のあんなもの盗んじゃだめよ。今度やったら、こんなことじゃ済まないわよ」
男は、泣いたあとのしゃっくりを繰り返しながら、すでにいましめを解かれ、ジャンパーの袖に手を通している。
(中略)
電話が鳴っている。
「うん、今なぐって帰したわ」
「泣いた?」
「もうたいへん」
「いつもそうなのよ。だらしがないの」(中略)
女同士の会話はいつまでも続いた。
 

夏木作品に出てくる、高貴な女性に殴られる男たちは、大抵がマゾではありません
それゆえ美しい女性に受ける過剰で時に理不尽な懲戒・折檻に、身を捩って泣き喚くわけ、
ですが
僕が読む限り、この「白い火花」に出てくる男だけはマゾではないか、と推測します

 

昔好きになってプロポーズまでした女性の下着を盗み、叱られ、殴られる

耳が遠くなるほど殴られて、懲らされるも

今度は、別の美しい有閑マダム・信子の下着に手を出す

今度は、恵美子にも信子にも、殴られる

これは

彼にとっては2度美味しい状況です

間違いなく再犯することでしょう

 

というわけで、作者には無断で、続きを書きたいと思います😊

 

 【続く】

 

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